
と言われておりますが、私などは、まさしくこの「創り人」のうちの“バカモノ”に入るのではないかと思っております。一銭にもならない、それどころか身銭を切ってやっているわけでございますから、はたから見たら「おまえ、何て不経済なやつだろう」ということになるかと思うわけでございますが、しかし、芸術に取りつかれた者の熱情をこめて、新しい価値を創造しよう、そういうような使命感を持ちながら頑張っているわけでございます。 きょうは「アートマネージメント概論」ということでございますが、アートマネージメント、これもまた横文字でございまして、やはり横文字感覚でなければ表現できないような新しい時代のキーワード、そういうニュアンスもこもっているだろうと思います。しかし、わかりやすく砕いて言えば、アーチスト、つまり「創り人」と、そのつくったものを楽しむ人、「楽しみ人」と言うんでしょうか、その間をつなぐお世話焼き、これがアートマネージャーであり、そのお世話をすることがアートマネージメントだと簡単に考えていいんじゃないかと思います。お世話を焼く人、お世話焼き、またはお世話役、そんなような存在が、当世流に言えばアートマネージャーであり、その人の仕事がアートマネージメントである、そんなふうに考えていいんじゃないかと思います。 私は今、大学でアートマネージメントの演習を1つ持っております。これは(実物を聴衆に見せて)実は北海道の網走管内の北見市の近くにあります置戸町という、人口4500人ほどの、83%を森に囲まれた緑滴る町でございますけれども、そこでオケ・クラフトという、ウッド・クラフトというか、木工芸術と申しましょうか、その創造に携わっている方々がいらっしゃいます。その方々がつくったのがこれ(実物を聴衆に見せて)でございます。 現在、町内に13カ所の工房がありまして、そこに13人の方が「創り人」として汗水垂らして頑張っております。ほかに工房センターがありまして、そこでつくっている方が5人。合計18人の方が、「創り人」として置戸町で頑張っていらっしゃるわけですが、実際に、そのうちクラフトだけで生活できる方は5人だというわけですね。つまり、「創り人」がだんだん独立していくという状況があり、もちろん、町の方も一生懸命頑張ってやっていらっしゃいます。しかし、このままでは、私どもは、この18人の「創り人」がいつまで続くだろうかなということもまた課題として感じているわけでございます。 先日行きましたら、こんなすばらしいのをつくっているんですね。普通の木目ですと、大体こんなふうな規則正しい器ができるわけでありますが、こちらは非常に不規則な木目
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